繊維業界の染色堅牢度をご存知でしょうか?

こんにちは〜!前田ネームWEB担当 前田です。

この業界に入って日の浅い私ですが、今日までにたくさん「堅牢度」というワードを耳にしてきました。

ケンロード? けんろうど? ケンロウド?
「ケンロウド」って何やろ〜?!
単語の響はカッコイイけどなぁ…なんて思っていました。笑

そこで!今日は「ケンロウド」とは何か?を解決していきたいと思います!

 

 

まず、、堅牢度(ケンロウド)とは。

「ケンロード」と聞こえますが、
正しくは「堅牢度」(けんろうど)です。

物(製品)がどれくらいしっかりできているか、
どれくらい壊れにくくできているかの
度合い・丈夫さのことです。

JIS規格の試験方法で試験し、
数値化して評価します。

 

では、染色堅牢度とは。

繊維製品は色付けすることで
商品価値を高め、生活を華やかにしています。

当然、長年使っているうちに色落ち、変色などが起こってきますが、
種々の条件にどれだけ耐えるかを評価する基準を染色堅牢度といいます。

色落ち・変色するの原因は日光・汗・洗濯などがありますが、
それらについて一定の試験条件で得られる結果を数値化したものが染色堅牢度です。

 

なぜ染色堅牢度の試験をするのでしょうか?

繊維製品も使用するといろいろと不具合がでてきます。
その不具合に対して、やはり消費者から苦情がでてきます。

ある百貨店での例を見ると
1番の苦情は色に関するクレームで、
全体の1/3を占めています。

そこで、このようなクレームの発生を防ぐため、
染色堅牢度を規格化することが重要となります。

その規格値が守られているかを試験して確かめています。

【色に関するクレームの分類】

①洗濯による色落ち
②色泣き
③摩擦による色落ち
④しみ
⑤汗日光による変色
⑥汗による色落ち
⑦白化現象
⑧プリントの剥離・脱落
⑨ドライクリーニングによる色落ち
⑩他からの移染、汚染
⑪環境による変色
⑫日光による変色
⑬塩素水による変色
⑭漂白剤による変色
⑮蛍光染料による変色

などがあります。
これらの分類から、どのような堅牢度を
重点的にチェックすればよいかがわかります。

 

色トラブルの主な原因と染色堅牢度試験

 

【表-1:色トラブルと染色堅牢度試験・その主な原因との関係】

色トラブル

堅牢度試験(JIS/その他)

主な原因

①洗濯による色落ち 洗濯試験(JIS) 洗い不足。染料不適正。
②色泣き 大丸法 洗い不足。染料不適正。
③摩擦による色落ち 摩擦試験(JIS) 素材不適正、染料不適正。
④しみ 水滴下(JIS) 素材不適正、加工不適正。
⑤汗日光による変色 汗耐光試験(JIS) 素材不適正、染料不適正。
⑥汗による色落ち 汗試験(JIS) 洗い不足。染料不適正。
⑦白化現象 摩擦試験 磨耗試験(JIS) 素材不適正、加工不適正。
⑧プリントの剥離・脱落 洗濯試験など(JIS) 加工法の不適正
⑨ドライクリーニングによる色落ち ドライクリーニング試験(JIS) 染料不適正。
⑩他からの移染、汚染 洗濯試験(JIS) 洗濯方法の不適切
⑪環境による変色 窒素酸化物(JIS) 素材不適正、染料不適正。
⑫日光による変色 耐光試験(JIS) 素材不適正、染料不適正。
⑬塩素水による変色 塩素処理水(JIS) 素材不適正、染料不適正。
⑭漂白剤による変色 漂白処理水(JIS) 染料不適切
⑮蛍光染料による変色 ブラックライト照射 洗濯洗剤の不適切

 

用途と重要堅牢度

製品の用途により染色堅牢度の重要項目が変わります。

【表-2:用途と重要堅牢度】

染色堅牢度規格は、製品の素材、染色濃度、色相を考慮し、
各々のメーカー、販売店が個別に適切な基準を設けています。

用途

耐光

洗濯

摩擦

ドライ
クリーニング

塩素

汗耐光

肌着

ランジェリー

シャツ

セーター

上着

スポーツシャツ

水着

寝具

◎重要度が高いもの
○重要度が次に高いもの

 

【表-3:外着・中着衣料用表地の染色堅牢度規格】

一般衣料品の表地の規格例を示します。

評価項目

基準

変退色

汚染

耐光

淡色のもの

3級以上

その他のもの

4級以上

洗濯

4級以上

3級以上

濃色の毛・絹製品

4級以上

2-3級以上

その他のもの

4級以上

3級以上

摩擦

乾燥

3-4級以上

湿潤

2-3級以上

ドライクリーニング

4級以上

3-4級以上

4級以上

3級以上

海水

4級以上

3級以上

ホットプレッシング

4級以上

3級以上

水滴下

4級以上

貯蔵中昇華

4級以上

4級以上

窒素酸化物

4級以上

塩素処理水

3-4級以上

汗耐光

3-4級以上

染色堅牢度の等級値数

染色堅牢度の等級値数(グレード)は
1級から5級までを半階級刻みの9段階で表します。

数値が大きいほど良い結果を表し、
5、4-5、4、3-4、3、2-3、2、1-2、1
の順で低くなります。

※耐光堅牢度は級数評価が異なります。
1級から8級の8段階

 

グレースケール

 

【変退色】
各種試験によって色の変化の程度(色落ち)を
変退色グレースケールにより級数を決めます。

※耐光試験は評価方法が異なります。
ブルースケール使用。

【汚染】
各種試験によって貼付した白布が汚染(着色)した程度を
汚染用グレースケールにより級数を決めます。

判定は公的検査機関が行いますが、
試験方法のほとんどはJIS規格に規定されており、
各検査機関とも同一条件の試験が実施されます。

品質管理の厳しい大手のアパレル企業でも、
堅牢度に関しては、4-5級が取れていれば
ほぼ合格と言われています。

国際的には、
各項目の染色堅牢度試験法として
国際標準化機構(ISO)で
定められています。

 

素材別・加工別 実際堅牢度比較

【ポリエステルのプリント加工(代表値)】

加工方法

評価項目

分散染料

プリント

転写プリント

顔料溶剤

顔料水系

耐光

4級以上

3級以上

4級以上

4級以上

洗濯

変退色

4-5級

4-5級

4級

4級

汚染

4級

4級

3-4級

3-4級

汗(アルカリ)

変退色

4級

4級

4級

4級

汚染

4級

4級

4級

4級

摩擦

乾燥

4級

4級

3級

3級

湿潤

4級

4級

2-3級

2-3級

ドライクリーニング

変退色

4級

4級

2級

2-3級

汚染

4級

4級

2-3級

3級

ホットプレッシング

変退色

4級

4級

4級

4級

汚染

4級

2級

4級

4級

貯蔵中昇華

変退色

4級

3-4級

4級

4級

汚染

4級

2級

4級

4級

赤文字部分:染料プリントと転写プリントの大きな違いはホットプレッシングと貯蔵中昇華にあります。

【綿のプリント加工(代表値)】

加工方法

評価項目

反応染料

プリント

顔料溶剤

顔料水系

耐光

3級以上

4級以上

4級以上

洗濯

変退色

4級

4級

4級

汚染

4級

3-4級

3-4級

汗(アルカリ)

変退色

4級

4級

4級

汚染

4級

4級

4級

摩擦

乾燥

4級

3級

3級

湿潤

2-3級

2級

2級

ドライクリーニング

変退色

4級

2級

2-3級

汚染

4級

2級

2-3級

塩素水

変退色

3-4級

5級

5級

汚染

4級

4級

4級

■注■ 綿に転写プリントはできません。

 

素材・用途別 適正な加工方法

素材用途により得意な(堅牢度の優れている)分野があるため事前に用途を確認し、
そのメリット、デメリットをお客様に説明して加工方法を決める必要があります。

【ポリエステル素材の用途別適正】

◎最適 ○適 △条件により適 ×不適

加工方法

用途項目

分散染料

プリント

転写プリント

顔料溶剤

顔料水系

一般衣料品

風合いの求められるもの

×

×

一般衣料品

ドライクリーニング耐性

×

×

一般衣料品

複数回の洗濯での色落ち

×

一般衣料

アイロン

×

一般衣料

長期間の保存

×

一般衣料

色の鮮やかさ

×

×

資材用途

耐光堅牢度が優れている

(選択要す)

 

【綿素材の用途別適正】

◎最適 ○適 △条件により適 ×不適

加工方法

用途項目

反応染料

プリント

顔料溶剤

顔料水系

一般衣料品

風合いの求められるもの

×

×

一般衣料品

ドライクリーニング耐性

×

×

一般衣料品

複数回の洗濯での色落ち

×

一般衣料

色の鮮やかさ

資材用途

耐塩素水

資材用途

耐光堅牢度が優れている

(選択要す)

 

日本のこの業界で「堅牢度」というワードをよく耳にしていた理由がわかった気がします。前田ネームでプリント加工・販売している、カラフル骨盤サポートベルトを実際に試験してみた結果がこちらです🔻

染色堅牢度試験結果

 

前田ネームのプリント加工、染色や染色堅ろう度(染色堅牢度)に関すること、
堅牢度がどのくらいいいのか教えて欲しい、アパレル副資材に使用できますか?
などなど一言で構いません。

折り返し、ご連絡致しますので、お気軽にお問合せください🔻

 

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